【伝統産業の復活】炭焼き事業スタート!【沖の島集落活動センター妹背家】
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炭。かつて日本では料理や暖房の燃料として使われ、全国的に炭作り(炭焼き)が盛んでした。
それは高知県の西の果ての離島「沖の島」でも同様です。
現在もその名残で島の山の中に入るといたる所に数多くの炭窯が遺されています。
冲の島の山中に今も残る炭窯跡
そんな伝統産業を復活させようと沖の島集落活動センター妹背家のメンバーが炭窯をゼロから作る取組みを開始しました。
炭窯の完成まで約1年半という長い歳月を費やしてしまいましたが、2021年3月末に完成し、同4月に初収穫を行うことができました。
高知新聞様が2回に渡って新聞記事にしてくださったのでご存知の方も多いのではないでしょうか?
沖の島地域は一般的な中山間地域の課題に比べて離島という地理的環境の為、更に様々な課題に日々直面しています。
そんな中で数多くのメンバーが地域の為に集い、汗をかいて炭窯が作られました。
復活した沖の島のかつての伝統産業の炭焼き。
この炭焼き事業を継続して行って沖の島集落活動センター妹背家の産業に定着できるように引き続き、取り組んでいきます。
又、さっそく沖の島小学校の児童が授業で炭窯の見学に来てくれましたが、炭窯見学・炭焼き体験等の体験型観光として沖の島での遊びを観光客に提供できるようにも模索していきたいと考えています。
以下からは炭窯作りの工程をまとめたものをご紹介します。
まずは土地の整備からです。
沖の島地域も人口減少・少子高齢化が進み、手が付けられなくなって山に戻ってしまっているような土地が多くなってしまっています。そのような土地を整備することから着手しました。生い茂ってしまっていた木々やダンチクを刈り取っている様子です。
土地を整備することができたので次は炭窯の底になる部分を掘って整備します。
掘った窯底部分に小石を敷き詰めている様子です。
掘って小石を敷き詰めた窯底に赤土を埋めた様子です。
炭焼きの過程で原木から水分が流れ出る為、窯底に排水管を埋め込みます。
次に炭窯の外壁作りに移行します。
外壁の寸法を窯底にスプレー書きして作業の目安にします。
スプレー書きした寸法に合わせて炭窯の外壁の骨格となる石を積んでいきます。
炭窯の外壁の石積みが完了しました。
本来は作業性を考慮して炭窯の天井が完成してから屋根掛けをするのですが、梅雨に入ってしまいせっかく作った今までの工程が雨で痛んでしまう可能性があるのでこの段階で屋根を掛け始めます。
炭窯の屋根掛けが完成しました。
これで雨を防ぐことができます。
炭窯の内壁を赤土で敷き詰める為の型枠を作っている様子です。
円形の型枠を作っていきます。
この辺りの時期に高知新聞様が炭窯作りの事を記事にしてくれました。
ありがとうございます。
型枠が出来上がってきた様子です。
煙突になる部分は耐火レンガで組みます。
(焚き口の部分も耐火レンガで組んでいます)
型枠と煙突が出来上がったので炭窯の内壁になる赤土を敷き詰めていきます。
炭窯の内壁になる赤土を詰め終わりました。
次に炭になる原木を敷き詰める工程に入る為、型枠の天井を取り外します。
炭の原木となる木を敷き詰めていきます。
焚き口に近い前の方が熱が強く、原木が灰になってしまう傾向にあるので前方の原木は太い物を配置していきます。
又、炭窯内の熱の雰囲気も考慮して前方に高い原木を配置していきます。
炭の原木が詰め終わった様子
原木が敷き詰め終わりましたが、細かい隙間があるのでそれらを塞いで綺麗な円形のドーム天井にする為に小枝を乗せていきます(補強や熱の流れを作る目的でもあります)
原木や小枝を乗せ終りこれから天井ドームになる赤土を被せていきますが、隙間から土が漏れ落ちないように畳表を敷いていきます。
畳表の上に炭窯のドーム天井になる赤土を被せて叩き固めていきます。
炭窯のドーム天井の赤土を被せ終わった様子。これからひたすら叩いて叩いて押し固めていきます。
赤土を叩いて押し固めた様子です。
叩いて光沢が出てきています。この叩きが弱いとヒビ割れや炭焼きを開始して原木が炭化収縮した際に支える物が無くなってドーム天井が崩れ落ちてしまう可能性があります。
ついに炭窯が完成して落成式です。当日は全員は集えませんでしたが、集まってくれた皆さんで記念撮影です。炭窯の名称は妹背窯です。
落成式の後にその流れで初めての炭焼きを開始します。
炭窯の火入れを行ってすぐに煙突から勢い良く煙が吹き出しました。その光景を見て非常に嬉しくなり、感激しました。
どんどん火を焚いていきます。
炭焼きを始めて数時間、小腹が空いてきたので焚き口の火力を利用してピザを焼いてみました♪
ピザ以外に餅も焼いたりして色々と楽しむことができます。
炭焼きを始めて数時間。
夜も更けてきました。炭焼きはまだまだ続きます。
一人では安全上問題があるので複数の人数で協力して交替していきます。
中には夜通し徹夜で焼き続けてくれる方もいます。今日は月が綺麗です。
炭焼きを始めてある程度時間も経過し、煙の色も香りも変化したので焚き口と煙突を閉じて完全に密閉します。
窯が冷えたのを確認したら焚口を開けて、取り出し口も開けていきます。
ついに完成した炭が出てきました!
炭焼き中に煙突から滴り落ちていた液体(木酢液)も溜めていたので採取します。
濃度によって様々な効果があるようです。炭の副産物です。
早速、収穫した炭で試し焼きを行います。しっかり焼けて美味しかったです♪
収穫できた炭です。炭窯を開けて中身を取り出したところ、実はほとんど原木の状態で、炭になっていたのは一部分でしたが…それでも約100kg程の炭の収穫量はありました。恐らく炭焼き時間が足りなかったのが原因です。失敗ではあるのですが、ドーム天井は崩れ落ちずに現存してくれたのでこれで本当の意味で炭窯が完成しました。初めて炭焼きを行う際は炭窯のドーム天井の赤土を焼いて硬化させるのが一番の目的なのでなんとか及第点なのかな…と思います。次回以降に徐々に品質を向上させて、沖の島地域の地場産業に再び成ることを目指していきます。
炭窯が完成して炭を取り出した様子を高知新聞様が記事にしてくださいました。ありがとうございました。
沖の島集落活動センター妹背家 地域部会 島の駅いもせや
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